2020年12月20日日曜日

プロジェクトマネジメント屋になってみて

 ■はじめに

 今回はマネジメント部署に配属されてから学んだ事、現役の皆さんにも知っていただきたいマネジメントのことを書いていきます。

 正直技術的なこと以外興味ないような人の方が多いと思いますが、そんな人にこそ読んでいただきたいですね。


■マネジメント屋の仕事はなんだ?

 マネジメントと聞くと、あれやれこれやれと命令を出し、人々を従わせることを思い浮かべる人が多いんじゃないでしょうか?自分もこの仕事に就くまではそう考えていました。

 現在の業務に就いてから3か月たったある日、上司に「マネジメント屋の仕事はなんだ?」と問われました。

 自分は思っていた通り「人、モノ、金を管理し目標を達成していくことです」と答えました。これに対し上司は「それも仕事だが、本質はそこじゃない」と返してきました。

 正直その時は何が言いたいのかわからず、その直後から任されていた新制御アイテムの開発が大きな壁にぶつかり、担当車両の大きな開発の節目を迎え、メンタルが死にかけてたわけですが、あれは本格的に業務が始まるから考えてみろという事だったんでしょうね。


■個人力の限界とやるべき事への気づき

 そしてその日から半年後、上記の課題を乗り越えたとき気づいたんですね。”数ある課題を自分の力だけで解決するのは不可能である”と。そりゃ各分野の専門家として何年も業務を積んできた猛者たちに敵うわけもなく。しかし、「では自分の仕事はなんなんだ? ただ会議を設定して議事録書いて、統括責任者に状況報告して、金と工数を管理するだけか?」と悩むことになりました。そんなの面白くとも何ともねぇやと腐ってたのも正直なところです。

 とはいえそうやってふてくされてても仕方がないので”なにができるか”と考えながら業務にあたった結果見えてきたことがあります。それは、

”各分野の専門家たちのモチベーションを高め、力を借りる”

”スムーズに業務に取り組めるよう障害を取り除く”

”目標達成の為に各人のベクトルを近づけていく”

です。これを上司にぶつけたところ、一皮むけたなとニンマリしてらっしゃいました笑

 マネジメントとは何ぞやといった話はここまでにして、この後はこんな事してみると良いよ適な話をしていきます。


■開発をスムーズに滞りなく進める為に

 開発をスムーズに進めるにはまず、”何が起こっているのか?を簡単に把握できるように、課題と日程、状況を見える化”していきます。

 何か問題があった時、それを早期に見つけ出して対処することが日程の遅れを防ぎますし、”知らず知らずのうちに爆弾を抱えたメンバーが病んでいく”といった状況も防げます。また、お互いの状況を把握していれば日本人特有の”俺は頑張ってるのにあいつは…!”というのも多少防げますよね。

 ではどうやって見えるかしていくか。まずは大会までの1ループでのルーティンでやることのリスト(上級生が作ってあげると良いでしょうね)と開発課題をTodoまで分解したリスト(みんなで相談しながら作ると良いでしょうね)を並べて、”このチームがこれから取り組むタスク”を明確化しましょう。後は大会というケツは決まっているので、どんな日程でやっていくかを考えていきましょう。この時のリストはなるべく細かく作っておいたほうが状況を把握しやすいです。これらの情報をまとめるのにガントチャートとか使うと便利でしょう。

 これで課題と日程が見えるになりますので、あとは各タスクについて課題の有無や結果、状況報告をするようにすれば進行状況は一目瞭然ですね。

 こういった情報をまとめるのは非常に大変な作業になりますが、一度苦労すればあとが楽になるので頑張ってみましょう。

 進行状況が見えるようになったら後はマネジメント屋の腕の見せ所です。日程遅れが生じそう、または遅れているものに対してどんな障害があるのかを抽出し、チームで解決するように働きかけてリカバリーする事がマネジメント屋としての仕事です。(チームで解決して乗り越えようという気概を持ったチームにしておくことも大事ですね)

 ありがちな担当者を叩くことで何とかさせるという手法は、チームの雰囲気を悪くしメンバーも減り日程も遅れ目標達成から遠のくという悪でしかないです。

 

■なぜ日程が遅れ、メンバーのやる気が低下するのか

 日程の遅れは「そもそもの計画が甘かった」というのも往々にあるのですが、こればっかりはやってみないとわからないということも多いのでここでは割愛します。

 それ以外の要因の一つは「課題が発生しているが解決できない状況にある」というメンバーを放置してしまう事にあるかなと。

 例えばなかなか設計が完了しないメンバーがいたとして、そのメンバーが抱えている課題が本人だけで解決できないもの(たとえば強度計算の仕方がよくわからないとか)だとしたら、いつまでたっても設計が完了せず、半端なものを遅れた日程で出すことになり、チームへの申し訳なさで本人はやる気を失いメンバーが減るという負のループに入ります。

 しかしそこで誰かが手を差し伸べ、課題を解決(強度計算の方法教えるとか)ができれば日程遅れも生じずチームワークも生まれ、ちゃんと設計されたものが作られることになりますよね。マネジメントとはこういうことです。だから課題と日程、状況を共有することが大事なんですね。


■おわりに

 今回はマネジメントの話をかきました。学生フォーミュラというと技術的な側面に目が行きがちですが、こういったマネジメントが良いチームをつくり、良いマシンを造ることにつながるのではないでしょうか。

 コロナ禍でお互いの状況がつかみにくい今こそこういったところ詰めてチームとしての土台をしっかりさせると良いんじゃないかなとおじさんは思いました。

 書ききれていないこともいろいろあるので、聞いてみたいことがあればYSNに話しかけてくださいな。


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