この記事は学生フォーミュラの現役学生、OB、審査委員などの関係者によって12/1から25日まで一日一記事づつリレーしていくアドベントカレンダーです。
前回の記事はひらやさんの 車両運動の勉強をする時に注意するべきことでした
■はじめに
今回は学Fだと触れる機会の無いHEVシステムについての話をします。題材は国内3大HEVシステムであるTHSⅡ、e:HEV、e-POWERで、それぞれの特徴や思想(e-POWER以外は予想ですけどね)なんかに触れていきます。
正直HEVなんで全く興味のなかった領域なので「そんなもん興味ねぇ!」て人も多いかとおもいますが、今後HEVの比率は増えていく予定ですので、一つの入り口になればいいかなぁと思います。
■各システムにの構成と特徴について
各システムの構成概念図と特徴を書くとこんな感じかなと↓
下記は、競合車と言われがちな3台についての諸元を書き出したものです。ここから読み取れる各社の差を見ていってみましょう。
ポイント① エンジン出力とバッテリサイズ
まず使用エンジンを見るとFITのe:HEVだけが直4を使っており、出力も最も高い。またシリーズ走行を基本とするe-POWERと比較すると強電バッテリに差がありますね。これはe:HEVではエンジンで発電した電力をモーターですぐ使い、シリーズ走行の比率を高く設定しており、e-POWERはEV走行を基本としており、バッテリ出力が足りないときにシリーズ走行をするという思想の際があるように見えますね。
ポイント② 駆動モータの差
次に駆動モータの差を見てみると、THSⅡだけ小さいモータを使っていますね(T社,H社はモータいろいろ持ってるので一概にTHSⅡが皆そうってわけでもないです)。THSⅡについては駆動用のモータだけでなく発電用のモータとエンジンからいつでも駆動側に出力を出せる(エンジンを始動するタイミングは別)為、ある程度パラレルモードの比率を高くしているのでしょうね。
ポイント③ パラレルモードの有無
今回の3システムでe-POWERのみがパラレルモードがありません。複雑な機構を持つことを嫌ったためですね。その割に思いですが。
ではなぜ嫌ったのか、ただでさえ重いのにこれ以上重くしたくない、コストを上げたくないというのもあったのでしょうが、発電機付きのEVとして、EVライクの走りに拘る為が強いでしょう。いつどこからアクセルを踏んでもシステムの動作状態遷移に邪魔されることなく駆動力発揮するためには、例えば直結クラッチを解除するのを待たなければならないというのは嫌なわけですね。
まとめると、EV・シリーズ・パラレルを目まぐるしく移り変わり燃費の良い走りを実現するTHSⅡ、シリーズ走行の頻度を高めて条件がそろった時だけパラレル走行をするe:HEV、EVライクな走りを実現するためにバッテリーをよく使うe-POWERといったところでしょうか。
■乗ってみた感想
ここからは完全に個人の感想ですが、それぞれ乗る機会があったのでその時感じたことを。
THSⅡはTHSⅡの走りをなるべく違和感なく受け入れてもらうような作り込みを感じました。
e:HEVはシリーズハイブリッドながらコンベ車のような動作(エンジンの動作や駆動力の出し方等)で、今までの車に慣れ親しんでいる人に受け入れてもらいやすいように(お客様にもこだわりが強い人が多いからかな?)
e-POWERはEVライクな走りの為に加速のつながりや、エンジンの動作をなるべく気づかせない方向にシフトしているように感じますね。
■終わりに
HEVシステム自体もそうですがモーターという駆動力制御の精度が高いものを得たことで、どんな乗り味にするか?が勝負所になってきているなと感じます。
その入り口としてHEVシステムって意外と面白いぞとなってもらえたら幸いです。
0 件のコメント:
コメントを投稿