この記事は学生フォーミュラの現役学生、OB、審査委員などの関係者によって12/1から25日まで一日一記事づつリレーしていくアドベントカレンダーです。
前回の記事は Yusuke Ondaさんの英語を勉強しておくんだ、という話でした。 (…のはず)
■まえがき
世間はクリスマスですねぇ…
きっと学F勢の皆さんには関係ない話…ですよね?!
まさか聖なる夜にベッドでベンチ試験とか…やってないですよね?!
いやリア充してくれて良いんですけどね、ただの僻みネタです笑
(去年のこの時期はリア充してたんだけどなぁ…来年こそは…!)
ネタはここまでにして本題に入りましょうかね。
■コロナ禍での活動にたいして
大会の中止や活動の自粛など、自分が現役の頃にはなかった事態が発生していますね。
そんな中で奮闘している現役の皆さんには自分が経験しなかった辛さを経験している反面、自分が経験できたことを経験する機会が損なわれているのかなと思ってます。
例えば大会が1年分スキップされて評価のタイミングが減ったこと、他大学とのFace to Faceの交流タイミングがなくなったことなんかは損なわれた機会じゃないでしょうか。自チーム以外の他大学の方々と仲良くなることで、知識を得たり一緒に考えたり、勉強会やらカースワップを実施して経験を得たりといろんなものを得ました。
逆に、皆さんはこの環境下で”活動の仕方を見直す機会”を経験できるんじゃないでしょうか。
「物は言いようってだけだろ!」と思うかも知れませんが、特に参加年数が長くなったチームは今まで積み重ねで”今まで通りやってればなんとかなる”ので、深く活動の仕方を見直す事はあまりないんですね。だからこそ、この”逆境を跳ね除けて多くの学びを得た経験”は必ず活きます。社会人になってからも多くの課題や逆境に直面します。それにどう対処するかは社会人になってからも重要な力なのです。
とはいえ何をすれば良いかわからないという人もいると思うので、”こんなことを考えてみると良いんじゃないかな”というポイントを一人のOBとして書き連ねてみようと思います。
■全体を見渡して課題を整理してみよう
コロナの影響で皆さん今までと活動環境が変わってきていますが、変わりっぷりはチームによってまちまちでしょう。しかし、その環境変化の影響をちゃんと見切れているか?対策はちゃんとできているか?が想定外の事態を避け、活動の質を大きく分けると思います。
じゃあ具体的にどうすれば?となると思うので、こんなことをしてみてはどうでしょう。
まずはメンバーみんなの意見や先輩、OBの力を借りながら
①これまで通りできる事
②これまで通りできない事
を整理してみます。こうすることでまず第一段階として問題点がある程度浮彫になると思います。
そしてこの②について更に"目的はなにか?””どんな状態、アウトプットが達成できれば良いか”などを深堀していき、解決すべき課題を明確にしましょう。
課題が明確になれば、あとは頭をひねって解決に導くだけです(とは言えここもまた難しいんですけどね)。
こういう広い視野から課題を整理して解決していくというのは、将来仕事をしていく上で大なり小なり役に立つ力ですし、学生フォーミュラ勢の強みだとも思うので是非身に着けてほしいなと思います。
■目的に立ち返り、多角的に何ができる?どうすればできる?を考えてみよう
課題を整理するところに触れたので、次は解決策を練る段階に触れていきます。
自分が解決策を練る時はまず目的に立ち返り、多角的に何ができるのか?どうすればできるのか?を考えてます。
何か課題に直面したとき、同じ方向から見ていても課題は課題としてそこに存在してしまいます。そんなときは別の視点で考えてみると解決策が見つかることがあります。例えば”そもそもなんでやらなきゃいけないんだっけ?”という視点を持てば対処の必要が無いものかもしれません。ただし、よく注意しないと本来の目的から逸れてしまい、良い解決策にたどり着けないこともあるので気を付けましょう。と言っても目的から解決策を考えるというのはわかりにくいと思うのでたとえ話を。
例えば同時に作業する人員が制限されていて製作が間に合わないといった課題があったとしましょう。
目的がマシンを完成させることなのであれば、今まで自分たちで作っていたものを外注することで作業場での作業数を減らす。なんて策が出てくると思います。もちろんこれを達成するにはスポンサーの獲得と金の用意が必要になりますので、そちらの解決も必要になりますね。
これが目的が自分たちで製作をして加工スキルを身につけることなのであれば、効率よく作業できるようにスケジューリングをして、それでも完成が遅れる分は諦める。といった策も取れますね。
課題を深堀していく段階で、何を課題を解決するためには何を満たしていなきゃいけないのか?が見えていると、目的をもとに別の方向から解決策を見つけ出せるものはいくらかあると思います。
もちろんどうしても解決できないこともあるでしょう。しかし、少しでも良い活動にしていくことはできるのではないでしょうか。
■コミュニケーションの取り方を考えてみよう
ここではどのチームも抱えているだろう、コミュニケーションについて触れていきます。
直接会うミーティングができない、合って何気なく話す時間が無くなったことのリカバリーの為にテレビ通話やチャットなどを活用しているチームが多いと思います。こういった直接顔を合わせないコミュニケーションで重要なポイントをいくつか紹介します。
①意識的にレスポンスする
②エクセルに書き出して整理する等して議論を可視化する
③伝えたいことは事前にまとめておく
④理解度や合意/非合意の確認をとる
⑤話す頻度を増やす
⑥会議しなくても状況がある程度わかるようにしておく
これらは在宅勤務下の某社でも意識的に取り組んでることですね。
①は話し手が話しづらくならないようにするため。反応が無いと自分の話が理解されているのか、そもそも聞いているのか等が分からない為非常に話にくくなります。これを防ぐためにも意識的にレスポンスをしましょう。
②は言葉だけでやり取りをしていると議論が空中戦に陥り、何を話しているのかわからなくなるのを防ぐためです。これは顔を合わせての議論でも重要なことですね。
③は言葉だけの説明ではなく、視覚情報をベースにして伝えることで情報伝達の質、理解度を高めることができます。
④は顔の見えないコミュニケーションで共通の理解しているのか、同意しているのか等が曖昧にならないようにするためです。
⑤は1回のコミュニケーションの質はどうしても下がるので数を増やすことでリカバリーをしてあげようということです。移動時間の制約がなくなる分、ビデオ通話などの回数を増やせるのではないでしょうか。
⑥は日程表やガントチャート、課題リストを共有して、お互いの状況をいつでもわかるようにしておくことでコミュニケーションが減った分を補うということです。
これらの内いくつかは通常の活動に戻っても効率よくコミュニケーションをとる助けになるでしょう。
コミュニケーションをしっかりとることはマネジメント系の仕事するようになって痛感しました。とくにこのコロナ禍でその重要性が増してきています。
コミュニケーションとはなにか。必要な情報、課題を共有し滞りなくスケジュールを進める為に必要な基礎です。これが顔を見て会話できるのか、画面越しや文章でしかできないのかで情報量に大きな差が生まれ、課題が上がってこない、課題の解決が遅れるなど問題が出てきます。
■視野を広げる、疑問を持つ、考える、議論する、相談する
最後に、学生フォーミュラで将来エンジニアとしてやっていくための力をつけたいと思って活動している方々の為に、こんなことを意識して活動に取り組めば、きっとエンジニアとしての素養が身につきますよというメッセージで締めくくります。
自分が学生フォーミュラを通して得たもので、今自分の強みだと感じているものは、課題対応力とつながりの広さだと感じています。もちろんエンジンや車両運動の知見もそうですが、これらはそれを活かす業務に就かない限り活かす機会はあまりないのです。しかし、課題対応力なんかはどんな業務に就こうと何かしら課題を見つけてきて解決していくことになる為、非常に汎用性の高い有用な力です。
また、学生時代に築いた横のつながりは今でも新たなつながりを生み、自分の経験値を高めてくれたり、相談相手を得ることができています(もちろん遊び相手も)。こういった繋がりが自分の人間的な厚みを増し視野を広げ、業務の内外で自分の生活を支えてくれています。
この課題対応力やつながりの広さは大会で身に着けたものではなく、普段の活動を通して身に着けた部分が多いです。その為に自分が意識的行っていたのが、視野を広げること、疑問を持つこと、考えること、議論すること、相談することです。
活動が制限されている中でも、こういったことを意識して活動すれば、大なり小なり社会に出てから役立つ課題対応力やつながりの広さを得ることができると思います。
逆境を跳ね除け、優れたエンジニアに成長することをたのしみにしております。